こんにちは、みちのくです☀️
今回は『続日本紀』文武天皇の治世元年の記事を取り上げていきます。
即位したての若い天皇の治世ですね🧡
きっと毎日が勉強だったんだろうなぁ…♨️
文武天皇元年(西暦697年) 現代語訳&解説
食封・封戸・祥瑞
8月29日(壬辰) 王親及び五位以上に、各々差をつけて食封を賜った。
王親とは皇族のことです。のちの律令においては、「皇親」と呼称されます。
五位以上とは、貴族のことです。
食封とは、給与として領地(封戸という)を与えることをいいます。
「食」はくいぶち、「封」は領地を与えるという意味です。
漢字を分解して意味を調べると分かりやすくなりますね!
封戸を与えられた者は、その土地から徴収された稲や布などの物品のいくらかを個人の給与にすることが許されました。
9月3日(丙申) 京の人、
大神大綱造百足の家に嘉稲(めでたい稲)が生えた。近江国が白い鼈を献上した。
丹波国が白鹿を献上した。
こういった、めでたい動物や植物を「祥瑞」または「瑞祥」といいます。時の天皇の治世に徳がある場合などに現れるとされ、改元のきっかけになったりもしました。
祥瑞が現れたことがきっかけで改元することを「祥瑞改元」といいます。
改元の理由としては、今では考えられないですね
蝦夷、新羅使の来朝、蝦狄
10月19日(壬午) 陸奥の蝦夷が貢ぎ物として方物を献上した。
『続日本紀』における蝦夷の初出記事です。
国史における蝦夷の初見は、『日本書紀』の景行天皇27年2月12日(壬子)条。
その記事によると蝦夷は、
「東方にある広大な『日高見国』に棲み、男女とも入れ墨をした蛮族である」
と伝えられています。
東方は陽が昇る方角ですから「日高見国」なんでしょうね☀️
古代の人たちのネーミングセンス、レベル高いですね♨️
朝廷と蝦夷との関係は、手懐けることもあれば、攻撃して征服しようとしたり
(逆に蝦夷に反乱を起こされて城が焼かれたりも)、硬軟が混ぜ合わさった対策…いわば飴とムチで保つ関係が今後長い間続くことになります。
10月28日(辛卯) 新羅使の一吉飡(新羅の官位)金弼徳、副使の奈麻(新羅の官位)金任想らが来朝した。
『続日本紀』にみえる最初の対外記事です。
新羅とは、白村江の戦い(663年)など、基本的に日本の敵国でしたが、この時期は国交がありました。もっとも日本は、新羅を「友好国」と見ていたわけではなく、貢ぎ物を献上する属国として扱っていました。
12月18日(庚辰) 越後の蝦狄に、各々差をつけて物を賜った。
この頃は、現在の新潟県あたりはまだ朝廷にとって未開の地であり、統治が行き届いていなかったことが分かります。
蝦「夷」ではなく、蝦「狄」となっており、「夷」は太平洋側で、「狄」は日本海側と使い分けがされています。
もともと「蝦」はカエル、特にヒキガエルを指し、
「狄」はキジ、または「遠い地」を意味する漢字だそうです。
飢饉、正月拝賀の禁
閏12月7日(己亥) 播磨、備前、備中、周防、淡路、讃岐、伊予などの国に飢饉があったので、賑救(財を施し救援)した。また、負税を徴収することをやめさせた。
負税とは、人民に貸し付けた稲のうち返済されていないもののことです。
「閏12月」とは?
2月29日の閏日なら聞いたことありますけど…
これは「閏月」ですね。2〜3年ごとに、12ヶ月に1ヶ月追加して、1年13ヶ月になる年があるんです。
1年が13ヶ月!?
じゃあ閏12月は、「2回目の12月」ってことですか!(驚愕)
はい。当時は月の満ち欠けと太陽の運行を基準に暦が作られていました。
そうすると、月と太陽の周期が少しずつズレていって、暦と実際の季節が合わなくなり農作業などに支障が出てしまうのです。
だから、暦と季節を調和させるため、1ヶ月追加して調整しているのです。
12月28日(庚申) 正月に人が行き来して拝賀の礼を行うことを禁じた。
もし違反者がいれば、浄御原朝廷の制天武天皇が定めた制度により、これを罰することとした。ただし、祖兄及び氏上を拝することは許可した。
正月とは、1月の全期間のことをいいますが、この記事の場合は元日を意味していると考えられます。
祖兄とは、親・祖父母・兄などの年長者です。
氏上とは、藤原氏・蘇我氏・大伴氏など、それぞれの一族をとりまとめるリーダーのことです。
のちに定められる律令には、以下のように規定されています。
『令』 巻第七 儀制令 元日条
凡そ元日には、親王以下を拝することを得じ。ただし、親戚及び家令以下は、この限りにあらず。(以下略)
当時は厳格な身分制社会ですから、身分の上の者が下の者に対して拝礼を強要するという実態があったのかもしれません。
上下の秩序を保つため、国が「親王以下には拝礼するな」と公に命令したのですね。
参考書籍など
次回予告
文武天皇2年(698年)正月から2月3日までをとりあげます。
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