1 位階とは何か

位階とは、律令国家に仕える官人の身分や序列を示す等級です。
大宝元年(701)の「大宝律令」制定により定められた位階は、官人の等級として、
最上位の正一位から最下位の少初位下までの全30階があります。
その内訳は、まずは大きく「一位〜八位」と「初位」の9階層、
そして、「正」と「従」、「上」と「下」の別により、さらに細かく階層が分かれています。

この関係を表で見ると次のようになります。
| 序列 | 正従と上下 |
|---|---|
| 一位 | 正一位・従一位 |
| 二位 | 正二位・従二位 |
| 三位 | 正三位・従三位 |
| 四位 | 正四位上・正四位下・従四位上・従四位下 |
| 五位 | 正五位上・正五位下・従五位上・従五位下 |
| 六位 | 正六位上・正六位下・従六位上・従六位下 |
| 七位 | 正七位上・正七位下・従七位上・従七位下 |
| 八位 | 正八位上・正八位下・従八位上・従八位下 |
| 初位 | 大初位上・大初位下・少初位上・少初位下 |

法則としては、
・数字が小さいほど上位
・同じ数字なら正が従より上位
・同じ正・従なら「上」が「下」より上位
となります。

全てを暗記するのではなく、法則を覚えればいいわけですね。
補足1 無位
官人の全員が位階を持っているわけではなく、「無位」という位階を有さない者もいました。
無位といっても、庶民、無職、何の身分もない人物というものではないことに注意が必要です。
「无位」と表記されることもあります。
補足2 贈位
亡くなった人物に対し、その生前の功績をたたえて特別に高い位階を授ける場合があり、これを「贈位」といいます。
この場合、位階の上に「贈」の一字を置きます。
例えば、『続日本紀』慶雲元年7月22日には贈位が行われており、故人である「従五位上坂合部宿禰唐に正五位下を贈った」とあります。
これを表記すると、「贈正五位下坂合部宿禰唐」となります。

ほか、位階には「内位」と「外位」という分別もありますが、今回の解説では割愛させていただきます。
2 読み方の例
正一位……しょういちい
従二位……じゅにい
正三位……しょうさんみ
正四位上……しょうしいのじょう
従五位下……じゅごいのげ
従七位下……じゅしちいのげ
大初位下……だいそいのげ
無位……むい

三位は「さんみ」、初位は「そい」と読むのが特殊で面白いですね。
3 どこからが「貴族」なのか

制度上、三位以上は「貴」、四位と五位は「通貴」とされ、五位以上と六位以下との間には待遇や身分上の大きな差がありました。

「通貴」、つまり「貴に通ずる」立場ということですね!
単純に言ってしまえば、三位以上が上級貴族、四位と五位が中・下級貴族という位置付けですね。
五位以上と六位以下の間、または
三位以上と四位・五位の間には大きな身分的境界があり、五位や三位を授けられることは官人人生において大きな意味を持ちました。
4 位階はどのように上がったのか
律令制には、勤務成績や勤続年数などを考慮して官人を評価し、位階を進める仕組みがありました。
一方で、高位者の子孫が最初から比較的高い位階を与えられる蔭位の制度もあり、現代的な意味で完全に能力本位の制度ではありませんでした。

位階が進むパターンとしては次のようなものがありました。
- 功績による昇叙
- 勤務評価による昇進
- 皇族・高官の子孫に対する蔭位
- 即位や改元などに伴う特別な叙位
5 官位相当制
史書を見ると、位階と一緒に官職名がついてくることがとても多いです。
例えば、「従五位上播磨守」と書かれていれば、
従五位上=その人自身が持つ位階
播磨守=任命されている官職
となります。

ある官職に任命されるには、その資格として一定以上の位階を要求されます。例えば播磨守に任命されるには、従五位上の位階を持つことが条件とされました。これを官位相当制といいます。

代表的な官職と、その官位相当をまとめてみました。
| 官職 | 官位相当(求められる位階) |
|---|---|
| 太政大臣 | 従一位 |
| 左大臣・右大臣 | 従二位 |
| 大納言 | 正三位 |
| 大宰帥 | 従三位 |
| 八省の卿(中務卿を除く) | 正四位下 |
| 左右大弁 | 従四位上 |
| 左右中弁 | 正五位上 |
| 衛門督(衛門府の長官) | 正五位上 |
| 左右少弁 | 正五位下 |
| 左右兵衛督(左右兵衛府の長官) | 従五位上 |
| 大国の守(越前守、播磨守など) | 従五位上 |
| 少納言 | 従五位下 |
| 大外記 | 正六位上 |
| 少外記 | 従七位上 |
補足3 「行」と「守」
ただし、官位相当はあくまでも原則として示された基準です。
本人の位階よりも高い位階を要求される官職に就いたり、
反対に
本人の位階よりも低い位階を官位相当とする官職に就いたりすることもあります。

自分の位階より低い官職に任命される場合、署名の際に官職の上に「行」の字を置くルールがあります。
また、自分の位階より高い官職に任命される場合は「守」の字を置きます。

読みは、行(ぎょう)、守(しゅ)です。
「行」の場合
例えば、「正五位下行讃岐守平群朝臣豊麻呂」という表記があるとします。
これを分解すると
正五位下(位階)
行
讃岐守(讃岐国の国司の長官で、官位相当は従五位下)
平群朝臣豊麻呂(氏姓と個人名)
となります。
本人の位階よりも低い官位相当の讃岐守に任じられているため、官職の上に「行」の字を置いています。
「守」の場合
「従五位下守左少弁石川朝臣麻呂」であれば、これを分解すると
従五位下
守
左少弁(弁官の三等官で、官位相当は正五位下)
本人の位階より高い官職を求められる左少弁に任じられているため、官職の上に「守」の字を置いています。
おわり

以上、やや細かいところもありましたが位階についての基本的な解説を終わりたいと思います。

こういうルールを知ると読むのが面白くなりますね✨


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